吾輩は30代独身処女である。
世間知らず克服キャンペーンにつき、「やったことないこと」にとにかく飛び込みまくっていたところだ。
これまでのあらすじを簡単に説明すると、著者はバキバキの新興宗教二世である。
それが、ある時宗教の洗脳が解けちゃったのだった。
ほぼ40年信じてきた。
心にドカンと穴が空き、「世間知らず」な自分をどうしてもなんとかしなければいけなかった。
無知な自分があまりに恥ずかしかったのだ。
それで裁判傍聴からキャバの体入まで、
放送大学からコミケまで、
ホストクラブから原爆資料館まで、
あらゆる体験の感想をまとめたのがこのブログだ。
もちろん「パチンコ」にも挑戦した。
が……
という話です
昔イトーヨーカドーだった道路沿いの大型店で初めてのパチンコに挑戦した

20歳ごろの思い出であるが、当時入手困難だったWiiの在庫があったので買ってもらった思い出があるイトーヨーカドーだが、売上がかんぱしくなかったのか、気付かないうちに閉店し、いつしか居抜き物件となっていたようだった。
それから数年がたち、あ、そういやパチンコって行ったことなかったな、とある時ふと気がついた。
どんなに閑散とした街でも、交番と郵便局、歯医者、コンビニ、そしてパチンコ屋がある。
これほどまでに日本各地に根ざした商売であるのに、私は入ったことがないどころか周辺の知識も何も知らないと気がついた。
そうとなれば、さっそく行ってみよう、
どうせ行くなら儲けたい、
という浅はかな想いで下調べを始めたのだった。
そこで気がついたのだが、パチンコって初心者向けの情報開示がほぼないのだった。
5年前のネットの情報だけど……
今はあるのかな?
今調べてみたらあった!
こんなのは5年前はなかった
というのも、ここ日本で賭博は法律で禁止されているらしいのに、「パチンコで儲かった」とか負けた、と言っている人がいるのはなんなのか?
そういうたぶん怪しい娯楽だから?あまり積極的な情報開示はしていない、っていうことだったのだろうか?
幸か不幸か、私の人生にそうした基礎的なことから打ち方などまでパチンコに関する情報を教えてくれる者は現れたことがなかった。
くわしいことは分からなかったが、とりあえずネットで情報を調べると「大通り沿いの大型店は当たりやすい」という情報だけはなんとか理解できた。
大通り沿いか〜〜〜
あ、そういえば昔イトーヨーカドーだった大通り沿いの物件、パチンコ屋になってたじゃんということで、この店に行ってみることにしたのだった。
パチンコ屋はなぜ賭博で摘発されないのか

聡明なる読者諸氏の皆様方におかれましては今更知らぬ者もおられないかもしれませんが、私のような世間知らずさんもいるかもしれないので、一応説明を試みてみる。
時代劇で見るような「丁か半か」みたいな、
お金を賭けて、運のみで勝敗の決まるゲームをすること、
すなわち賭け事は現代では刑法185条に触れる違法行為として禁止されている。(競馬・競輪・競艇だけは公営競技といって例外的にお金を賭けることが認められている。)
ではなぜ「ギャンブル依存症」が語られる際や、もしくはお金にだらしない者の描写として「パチンコ好き」が語られるのか。
「パチンコ」とは銀玉を弾き、
ランダムな軌道を描く玉がどこに落ちてくるか?で遊ぶゲームで、
「当たり」判定の穴に銀玉が運良く落ちると、
入った玉よりもたくさんの玉が手元にキャッシュバックされてくる。
つまり勝つと、ゲーム初期よりもたくさんの銀玉を手に入れることができる。
この「銀の玉」だが、
なんと買い取ってくれるお店がパチンコ屋の近所に存在する。
ここで銀玉を換金することができるというシステムだ。
つまりパチンコ屋で賭博行為が行われているワケではなく、
あくまでパチンコ屋では銀の玉を使って遊ぶだけであり、
変わった人がたまたま近所で銀の玉をたくさん買いたがっていたというだけなので、違法行為ではないのだ。
まぁそういうわけで、パチンコで運良く勝てると、事実上お金を増やして帰ることができるのだ。

三店方式という
入ったけどどうしたらいいかわからない

40歳まで性交経験なしくらいの世間知らずであるから、パチンコにもサグな(ヒップホップで「ワル」という意味です)イメージがあり、入り口近くで入店に10分くらいためらってウロウロしたが(何してるんだか……)意を決して入店することにした。
子供の頃、パチンコ屋の前を通るとものすごい轟音に驚いていたものだが(小心者なのだ)いざ自分の意思で入ると、かの轟音に包まれたところでそれほど不快に感じなかった。
わけもわからず入店しているが、
店内には例えばデパートの入り口の受付嬢のいるカウンターとか、図書館の司書さんがいるカウンターみたいのも一切なく、コンビニやスーパーみたいにいらっしゃいませという声かけがあるわけでもなく、閑散としていて
あまり歓迎されていないように感じた。
さて、これからどうしたらいいのだろう

色んな台があるんだな〜と店内を観光した
海物語で5分で負けた

本当にどうしていいかわからず、
とりあえず空いている台に座ってみた。
でも、お金をどこから入れたらいいのか?
千円札をこのパチンコ台のどこかの隙間に入れるのではないか?と入れようとしてみるも、どこから入れたらいいのかわからない。
現金をパチンコ台にねじ込もうとしているキチガイ(差別的な表現でしたら申し訳ありません)だと思われたらしく、
隣に座っていたオッサンが居心地悪そうに立ち去ってしまった。
逃げ出されてしまい、これで誰にも聞くことができなくなった。
なんか……テストプレイとかできないのかな?
とか無根拠に意味のわからないことを考えて、ハンドル?をまわしてみたりしたが当然無反応である。
隣のオジサンは私のあまりに不気味な挙動に恐れをなして早々に逃げ出したが、
パチンコ台に座ったものの、パチンコ台に現金を直接ねじ込もうとしたり、踏むべき手順を踏んでいないのにハンドルをまわして遊び始めようとするキチガイ女(私のこと)が登場したことで、周囲に緊張感が漂いだしているのを感じた。
もう乗りかかった船なので、
どうしても一度遊んでみたい。
初心者向けのリーフレットとかPOPとか、遊び方の説明書みたいのはないのか?とまわりを見回してみるけどどこにもない。
そのかわり、台の当たる確率みたいのが書かれたPOPはあった。
しかしここに記載されている排出率が実際のものとズレていたところで誰がそれに気付けるのだろう。
すべての台を警察(など外部の監査機関が)が数学的に正しい確率で本当に排出しているのか?確実であるといえる試行回数を重ねて確かめているとは思えない。
こんなマニアックな情報はいいんだよ〜
とにかく遊び始める方法を教えてくれ〜〜
台をくまなく観察していると、
現金を入れる場所はないものの、「プリペイドカード」挿入口ならあった
プリペイドカードがあるのか?
ということはどこかでチャージをするってコト?
というワケでいったん台を離れ、
プリペイドカードのチャージ機を探してみたところ、あった。
目立たないところにあるわけでもないが、
初心者が必ず立ち寄らなければいけない設備にしてはPOPも何もなくあまりに簡素だった。
こんなん初来店の人に分かるわけないだろー、と悪態をつきながら千円ほどチャージし、
先ほどの台に戻ってきた。
よくわからないけど「海物語」という名前だけは知っていたし、子供の頃に近所の西友のゲームコーナーで「釣りっ子ペン太」というメダルのゲームをやっていたこともあってどうしてもこの台がよかった。
ようやく資金の入ったプリペイドカードを入手できたので、さっそく台の挿入口にカードを入れてみた。
よくわからなかったがとりあえずハンドルをまわすと、
蛇口をひねったみたいにぴゅ~とパチンコ玉が勢いよく飛び出してきた。
子供の頃に図画工作で作った木製の釘打ちの輪ゴムを動力とするパチンコみたいに、玉の排出に際して力やコツはまったく必要ない。
ほぼ自動で排出される銀玉をポカンとして眺めていると、突然派手な音が鳴り出し、パチンコ台中央付近でドット絵のアニメが再生され始め、わずかに銀玉が手元にトロリと溜まるくらい出てきたが、それもすぐに止まってしまった。
何事かと思ううちに手元に出てきた銀玉もあれよあれよと台に吸い込まれ、やがてパチンコ台はうんともすんとも言わなくなってしまった。
ん……?
え……終わりってコト?
ちょ、え?
これでサービスデーの映画一本みられるくらいのお金(1000円)が消えた、ってコト?嘘でしょ……?
にわかに信じられなかったし、プリペイドカードといえばSuicaのように、たとえ残金が0になったとしてもカード自体は手元に残ると思っていたので、いずれにしても「カードが戻ってこない」状況に困惑し、意を決してスタッフの人に声をかけることにした。
若いスタッフの男性が親切に対応してくれ、台の状況を見て
「負けてますね」
と説明してくれた。
残金が0になると、カードは手元に戻らないらしい。
スタッフの人に「これは負けています」と教えてもらうまで、負けていることさえ分からなかった。

スタッフの人も笑いをこらえていただろうな
資本主義社会に対する冒涜だろ

当時の私の時給は1000円だった。
職場で過ごす1時間は短くはない。
何事もなく過ぎていくこともあるが、
事件に対応している1時間などはとてつもなく長く感じられる。
そうして苦労して得た1000円が、
こんな風に無為に消え去っていいのか。
一生懸命働いた自分があまりにかわいそうではないか。
だいたい、パチンコ玉の排出が容易過ぎる。
知能も筋肉も一切使わない。
これでは戦略も上達もあり得ないだろう。
このような「熟達」のない領域で金銭の授受が発生するなどというのは、 社会に対する冒涜ではないのか。
例えば我々の社会において高給取りと言われる医者や弁護士などの士業の人が資格を得るまでにどれほどの投資を必要とするか、また従事する仕事のミスの許されなさゆえに高給であること、
またそうした高額な教育投資などできなくても、時間と体力を使ってお金を稼いでいるすべての労働者に対して
なんの知性も労力もいらないパチンコでお金を得よう、などと発想することを恥ずかしく思わないのか
それと単純に「エンタメ」の質が低いのも気になった。
海物語の中央付近に表示されるドット絵のアニメはスーパーファミコンくらいの解像度だし、
「当たり」の時の演出も台が点滅する、くらいの単純さだ。
例えば任天堂などのゲームメーカーがプレイヤーにいかに楽しんでもらえるか?工夫と開発に日夜心血を注いでいるのに
パチンコ台はエンタメとしての演出が30年前で止まったままのように感じた。
なんかもっと、ハズレても、真ん中のアニメを見たくて通ってしまう、とか、音楽が良くて評判になる、みたいな、
他方面でのユーザーフレンドリーさもあった方が業界が活気づくのではないか
普通に余暇としてつまんなくないか?
とまあ負けたこともありかなりパチンコがキライになった(笑)
勝っていたら、もう少しポジティブに見る気になっただろうか

1000円返してくれ!
でも、ギャンブル依存症になる気持ちはわかる気がした

数分で負けてしまい、することもないので家に帰ることにした。
平日の午後であったが、店内にはまさに老若男女という感じで、若い女性、高齢の女性、若い男性、おじさん、おじいさんがいた。
それを見てなんだか、みんなは勝てていて、私だけが早々に負けて、一人離脱を余儀なくされているような、惨めな恥ずかしい気持ちになった。
今帰るのをやめて、もう1000円使ったら、勝てるのではないか?
勝って、最初に負けた1000円ぐらいは取り戻すべきではないのか?
という思いが頭をよぎった。
これが、かの有名な「サンクコスト効果」だと知ったのは帰ってからしばらくたってからだ。
英語表記はsunk cost。既に投資した事業から撤退しても回収できないコストのことで、埋没費用ともいう。それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで、それが今後の意思決定に影響を与えることを、サンクコスト効果と呼ぶ。
ー野村証券証券用語解説集より
サッサと負け、ガッカリし、もうウンザリだと思った直後のはずなのに、
「取り戻さないと」という焦り、負けた恥ずかしさ、負けた金額が無為に瞬時に失われた恐怖が混ざりあった気持ち。
この「負けたからこそ、もう1000円」という思いはネバついていて、自分でも意外なほど抗いがたかった。
もしかすると「ギャンブル依存」とは勝てた時の興奮がやみつきになるだけでなく、負けるからこそ、やめられなくなるのかもと思った。負けを挽回したくなるのだ。
先ほどはパチンコなんて社会に対する冒涜だとか口さがなくののしり
(そうした業界で真剣に働いておられる方もいるのに失礼を申しました。5分で負けた弱者の遠吠えなのでお気になさらないでいただきたいです)
貨幣や経済、社会に対する認識の甘い者しか、こんなのやらないだろうとか思ったのだが、
しかし最近YouTubeで大王製紙の元会長である井川意高氏のチャンネルを見ているのだが、
頭が良く、一族経営の大企業を担う器のある人物でも、やめられなくなったのが「ギャンブル」なのだと思うと、個人の知能や誠実さなどとはまったく関係なく罹患するのが「ギャンブル依存」なのかもしれないなと考えを改めた。(井川意高氏はパチンコ依存ではないが)

賢い人でもなってしまうのがギャンブル依存なのだ
パチンコに対する正直な気持ち

私は株取引をやっているが、株取引が上手な人の話を詳しくきくと、以前はパチンコで生計を立てていたという人の話が出てくる。
私はパチンコをやってみて「こんなの戦略も上達もない」と感じたが、実際のところどうやら「上達」はあるようだ。
とはいえ、私の話に戻るが、負けて店舗を後にする時、店舗の入り口の大きな電飾が目に入ってきた。
こうしたキレイで豪華な遊興施設だが、この設備費はどこから出ているのか。
見た限り、胴元は儲かっていそうだ。
胴元が儲かっているということは、今回の私のように、負けて資金を無為に溶かした者がこれまでも少なからずいたのだ。
パチンコ屋の運営が周辺住民の福祉を願い、
金銭面での公平や市民の幸福のためにされているわけではないことは私でもわかる。
負ける人がいて、利益が得られるから、こうした遊興施設が存続できるのだ。
各パチンコ台には当たりの確率が表示されていた。
しかしさっきも書いたが、こんなの不正したところで誰が気付けるというのだろう。
胴元のことをどうしても信用できない、と思ってしまった。
好きな人も多いのかもしれないが……私はこのカルチャーには乗れないな、と感じたしだいだ。

働く方が楽しいくらいつまんなかった
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一人で生きるハムスター
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